挑戦
「はい・・・はい。よろしくおねがいします。」
派遣の面接日当日。
待ち合わせの場所に来るように言われ、電話を切る。。
ちょうどビルの前での待ち合わせ。どんな人が来るんだろう。。
電話では女性だったから、女性が来てくれるのかな??。
しばらく待っていると、
「派遣の登録の方ですよね??」
黒いコートに身を包んだ、メガネをかけた色白の男性が声をかけてきた。
「はい。よろしくおねがいします。」
大山「私は派遣会社の大山と申します。よろしくおねがいいたします。」
丁寧な挨拶でビルの中へ案内された。
ビルの一室に案内され、面接室のようなところに通される。
大山「緊張してます??。」
「だ、大丈夫です!」
緊張したことを指摘され、とっさにウソをついてしまった。
大山「大丈夫ですよ。説明してすぐ登録になりますので」
男の言われるままに、渡された用紙を確認し、説明を受けていく。
「本当にいつでも入れるんですか?」
大山「基本的に案件が多い・少ないは日によって変わりますが、その日に案件があればだいたい入れます。」
「北新地とかでも働けるんでしょうか・・・?」
北新地。
大阪で働く上で、ちゃんと調べてきた。。
大阪の北新地は高級な飲み屋街なので、時給が高く出ると。。。
自分の授業料と、弟の大学進学のお金を考えると、稼げる金額は多い方がいい。
大山「経験者の方ですか??」
「・・・水商売ですよね??」
大山「はい。」
「ないです。」
大山「北新地でももちろん働けますが、最初はそんなに時給は高く出ないですよ。」
「え??。いろんなサイトを見ましたが、北新地は高い時給が出る!って書いてありましたよ。」
大山「はい。高い時給が出るお店はあります。」
だったら・・・。
大山「では、質問です。あなたがコンビニに面接に行きました。」
何を突然・・・。
大山「コンビニで採用されました。その時の時給が店長と同じぐらい出る確率は何%ですか??。」
ん・・・・。
「そんなの初めてなので、出るわけないじゃないですか!」
っは!
そうか・・・。
大山「気づきましたかね。確かに水商売は高いお給料のお店が多いですが、お店のランクによってはピンきりです。」
「・・・。」
大山「時給が2500円のところもあれば、その倍以上の額を出すお店もあります。」
「・・・。」
大山「ただ、高いお店になればなるほど、お客様のランクも上がり経営者のような方々になると・・・」
そう、初めての仕事でそんなにいきなりお金が出るわけがない。。
大山「でも、最初からでも時給が出る方法はあります。」
え?!
「どうやったら!!」
思わず、叫んでしまっている自分に気付く。。
大山「在籍なら、頑張れる子だと分かれば見込みの時給を出してくれます。」
在籍・・・。
その2文字が私の頭の中をぐるぐる回っていたのでした。。